ガイヤースの種牡馬としての可能性
昨年のカルティエ賞年度代表馬・最優秀古馬であるガイヤースがアイルランドのキルガンダンスタッドに種牡馬入りしました。2021年の種付け料は30,000ユーロと発表されています。
今回はこのガイヤースが種牡馬として成功できるか、日本で産駒が日本で好走するかどうかについて考察していきたいと思います。
種牡馬・ガイヤースの未来は明るい
私はガイヤースが種牡馬として成功するだろうと考えています。
まずは競走成績からその理由について述べてさせていただきます。
この馬はG1・4勝を挙げており2400mのバーデン大賞は14馬身差で圧勝、同距離のコロネーションカップではレコードタイムで勝っています。
2000mのエクリプスステークス・インターナショナルステークスではエネイブル・マジカルといった世界的強豪に勝利を収めており、その競走能力の高さをうかがわせます。
また、G3のドバイミレニアムステークスでも2着に8馬身半差をつけてのレコード勝ちがあります。
本格化したバーデン大賞以降は逃げ・大逃げの戦法が持ち味となりました。ガイヤースのスピードとスタミナを最大限活かした逃走劇は多くの人を魅了しました。
重馬場こそあまり得意ではありませんでしたが、種牡馬として近年重要視されているスピードを競走実績で証明しており不安はないようにみえます。
しかし、ガイヤースの初G1制覇は4歳時のバーデン大賞でありスピードとともに生産界で重要視されている早熟性、すなわち2歳・3歳でのG1勝利がありません。
ですが、これは故障により3歳時に一戦しか走れなかったことが原因であり決して晩成だったからだとは思いません。
実際に馬主のゴドルフィンやチャーリー・アップルビー調教師の管理していた同世代の馬でナンバー1という評価を得ており、ダービーの有力候補だったのです。
Godolphin and Charlie Appleby pin Derby hopes on Ghaiyyath | Godolphin | The Guardian
このことから、ガイヤースの産駒も父と同じように早い時期から活躍し父の果たせなかったクラシック優勝を期待できます。
血統の裏付け
種牡馬としては競走成績よりも血統面が高評価される馬も珍しくありません。
では、ガイヤースの血統はどうでしょう?種牡馬として期待できる血統構成なのでしょうか?
結論からいうとむしろ血統構成こそがガイヤースの種牡馬価値を最も高めるものだということが出来ます。
父は言わずと知れた大種牡馬ドバウィ、母はアイリッシュ1000ギニーの勝ち馬Nightime、そして母の父が長年イギリス・アイルランドのリーディングサイアーに君臨しているガリレオです。
さらに半姉にファストネットロック産駒のZhukovaという馬がおり、アメリカの芝G1マンノウォーステークスで優勝しています。
超良血馬だということが出来ますが、本馬のアピールポイントはそこだけではありません。
ガイヤースと同じように父にドバウィ、母の父にガリレオという血統構成を持つナイトオブサンダーという種牡馬がいます。
2020年に3歳世代だったナイトオブサンダー産駒達は合計で14頭のステークスウィナーが誕生しました。これはヨーロッパでガリレオ、キングマンに次ぐ第3位の記録です。
初年度産駒が挙げた65勝はヨーロッパの2019年度新種牡馬でトップの数字です。
また、産駒全体では10頭の重賞勝ち馬が生まれています。
このナイトオブサンダーと似た血統を持っているガイヤースも成功するのではないかと思う次第です。
さらに、ガイヤースの母はクラシックウィナーであり上で触れた早熟・晩成といった面での心配も血統で払拭できるでしょう。
日本で産駒は活躍するのか
日本に産駒が持ち込まれた場合ですが、ある程度活躍するのではないでしょうか。日本で活躍している種牡馬は馬体重は様々ですが高さはそれなりにある馬が多いです。ガイヤースも高さがありますし、そこまで筋骨隆々すぎるというわけでもありません。高いスピードをもっていますし、芝の中長距離で活躍するのではないでしょうか。
いとこのロードカナロア産駒、キングオブコージが活躍していることも強調材料です。